島瀬登さん (富山県下新川郡入善町)
入善町ジャンボ西瓜生産組合
今回の突撃町民インタビューは、入善ジャンボ西瓜生産組合長の島瀬登さんです。蔓が伸び、花から実になる大事な時期に畑におじゃましてお話を伺いました~!
圃場に整然と並ぶ畝は思わず「きれい!」と言ってしまうほどです。
今はどんな作業をされているのですか?
1株から5本のツルだけ成育させるための作業をしとるんです。昨日今日と風が強かったからね、蔓の先端が傷んだところを摘みとる作業だね。
ふかふかの寝床の様な、すばらしい畑ですね~!
畝は2段階で作る。苗が育つにつれて蔓がのびると広げるよ。最初は小さい畝だよ。最初からあんまり広い畝だと、土に熱がはいらない。田んぼを温かくして成長を促すんだよ。最初から広い畝をつくる人もいるようだけどウチは昔からそうしています。
畝を広げていくとは知らなかったです。
西瓜はすごくデリケートだから、定植してもうまくいかないこともある。細かい作業で粘り強くやらんだちゃね。いやになったらダメ、毎日毎日見回るよ。いい蔓に見えても良い西瓜にならないのは見逃さないよ。本当は自分たち以外、畑に立ち入り禁止(笑)ほら、靴にいろんな菌がついているからね。入善の地域によっても土の性質が違うからね。ジャンボ~ル三世は男の子だけど、ジャンボ西瓜は女の子だから本当にデリケート(笑)今年は天候にめぐまれて地温も15度以上だよ。
スミマセン、立ち入りには気を付けます(^^;)ところで西瓜づくりにはのどくらいの月日がかかりますか。
作業は10か月かかるよ。西瓜の収穫のあと、稲刈りが始まる。その時、西瓜の“サン俵”を作るために、稲ワラをつくる。そして圃場も決めて(西瓜作りは連作が出来ず10年開ける為)準備を始める。田んぼは収穫が終わったら肥やしをいれて、また追肥をいっぱいいれて、10月のお祭りの頃に一度畝にする。春になると消石灰を撒いてまた畝づくり。水も大事だからね。ウチの畑は7月にはいると砂漠みたくなるから、溝に水を流して、畝の下で繁茂した根っこに吸わせる。その為に溝を作ったり水はけをよくしたり運搬用の通路もつくる。冬の間には“サン俵”をつくらなにゃならんからね。
入善ジャンボ西瓜といえばサン俵。冬の間にサン俵を自らつくって、包み方の指導もする。
田植えの春は、西瓜の作業が重なりますね。出荷の際も大変そうですね。
ホントに、春は頭がもやもやになるほど忙しいよ(笑)収穫時はそりゃもう重いからね。20キロ以上になるともう無理。若かった時はよかったけど、すぐに高齢になって70になるときついね(笑)息子夫婦に朝5時ぐらいから手伝って、一個づつ一輪車に載せて運ぶんだよ。
出荷が近づくころ、地域の人々と西瓜のパトロールを行う。ジャンボ~ル三世も参加。
西瓜づくりには若い人たちもいるのですか?
昔は、この地域はほとんどの家が西瓜を作っていたよ。でも高齢化で、うちの近所では今は2軒。入善町内だと今生産者は15名。若手の方が頑張っている農家もあるよ!この西瓜は富山県のブランドで町の特産品だけど、日本の中で生産規模では一番小さいの。1人でも2人でも西瓜づくりに挑戦してほしいと思うね。
明治時代から百年を超える歴史がある西瓜ですが、いまだなお品種改良しているのですか?
この西瓜は一代交配種。接ぎ木栽培じゃなく、タネから育てる。混じりけのない西瓜だけど、いつ何どき形が変わったり、障がい発生に見舞われるかもしれない。だから環境に対応しながら毎年研究しているんだよ。今年は各生産者が5株づつ新品種を作っているよ。少し実が固めで日持ちする品種を試験栽培中だね。
今はJAみな穂さんが中心になって出荷されていますが、昔はどうされていたのですか?
昔は、買い付けする人が、朝6時頃に回ってきて「西瓜あるか〜」と西瓜を集めて、国鉄の駅から出荷していた。「今日30個、明日もまた頼むよ」とね。昭和57年に入善ジャンボスイカ生産組合ができて「入善の特産」であることを打ち出したんだよ。
西瓜作りは門外不出と聞いています。
そうだね。他の地域の人が西瓜を作りたいから種をわけてくれとか作り方を教えてほしいと言われても教えられない。もちろん、JAみな穂管内の生産者がふえるのは大歓迎なんだけど、他の地域にいくと、条件が違うからブランドの風評被害につながる。だから担い手探しがとても大事なんだよ。
ところで、奥さんと二人でいつも作業されているのですか?
(奥さま)私が西瓜の先生です!生まれてからずーっと西瓜を作っているから。会社に勤めてもずっと西瓜づくりしていました。お父さんは役職が多くて会合ばっかりで西瓜畑になかなか顔を出せないからね(笑)
「1.2.3.4.5..6本あるから、お父さんこの蔓切ってね」と、2人で畝をはさんで蔓を確認する。
そうだったのですね!奥さんおいしい西瓜はどんな西瓜ですか?
ジャンボ西瓜は少し固めで、シャリ感があるのがおいしいよ。甘さは12度以上。ふるまい市(※毎年西瓜の収穫時に行われているイベント)で出す西瓜は12.6度以上。糖度が13度以上になると甘すぎて、食べた後口の中に残るの。最初甘くて皮のふちが少しあっさりが一番ベストね。すこしづつ糖度が下がっていくのが爽やか。
さすが先生! 西瓜を召し上がった方からの評判はどうですか?
「おいしかった」と手紙をもらったり、会社仲間で新聞紙を敷いてみんなで食べたと写真をもって見せにきてくれる人もいます。やっぱり嬉しいね。ただ、この西瓜は7月下旬から8月上旬までが旬なの。お盆を過ぎてから注文がくることがあるので断ることもあるから早めに注文してね。
われわれも、そのように広報したいと思います!では島瀬さん、最後に一言お願いします!
とにかく、皆さんにおいしい西瓜を食べてもらう、それが一番。西瓜って、各県で自分ちが一番と自負している。名声を上げないと売れないしね。入善は、需要がおおいけど、供給がすくないから、西瓜づくりをやりたい人をぜひお待ちしています。いい品をつくって、お客さんに喜んでもらうのが一番大事なことと思っています。
入善ジャンボ西瓜は、一つの株に一つだけを実らせます。甘くて大きい西瓜を作るために、118年の年月をかけて今も農家の皆さんが努力をされています。さあ、おいしい西瓜の季節は間もなくです!どうぞご賞味くださいね!
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前入善町ジャンボ西瓜生産組合長 島瀬登氏のご生前のご厚情に深く感謝するとともに、故人のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。
平成27年4月22日