西島亜希さん (入善町道古(にゅうぜんまちどうこ))
特定非営利活動法人工房あおの丘代表
第2回目となるインタビューでは素敵な入善ウーマンを取材!入善町道古にある 特定非営利活動法人工房あおの丘代表西島亜希さんにお話を伺いました。
【早速ですが、工房あおの丘はどんなことをされているのか教えてください。】
私たちは、障害をもっている人たちが地域で暮らすための障害福祉サービスを実践しています。18歳以上の大人の障がい福祉サービス部門と、18歳までの児童の障がい児通所支援部門があり、大人45名、児童65名の皆さんが利用されており、スタッフ25名で運営しています。
あおの丘では、私たちが日ごろ感じているごく当たり前の価値観の中で、障がい者も一緒に暮らしたいということを考えています。障がい者の暮らしのなかでは「人とのつながり」が絶対に欠かせません。本人はご家族と地域で暮らしている方が多いのですが、残念ながら社会とのつながりが薄い方が未だに多く、例えば、障がいの専門的な学校を選択すれば、自分の暮らす地域とは違うところに通うことになってしまい、卒業してまた家族と暮らす形を継続できても、友達もあまりいないという、とてももったいない残念な生活。そんな流れがあります。
しかし、地域のなかに自分たちが入っていくには、ただ待っていても人が来てくれるわけではありません。自分から向かっていかなければ、自分のことを知ってくれない。「私はそんなことが出来ない」とか、「誰も解ってくれない誰も助けてくれない」というのではなく、「解ってもらう」のがまず基本で、自分自身を知ってもらう、というところに今の活動があります。
朝礼を終えて。それぞれの担当ごとに作業がはじまる。
【工房は和やかでいい雰囲気ですね!】
こちらでは、朝10時に朝礼をして、それぞれ担当ごとに午後4時まで作業をしています。地域の皆さんにご協力いただいて、お菓子づくりや、押し花商品制作、商品の袋詰めなどのお仕事をしています。地域のイベントがあれば、出店販売もしています。今後も活動拠点を充実させようということで、工房のとなりには、来年の春開所予定で工房の増築工事が始まります。これまでの活動のなかで、私たちを受け入れて下さった地域の方たちには感謝でいっぱいです。
田園の中にある工房の外観。隣接で拡充工事中。
【西島さんが福祉の道に進むことになったのはなぜですか?】
大学の4年間が自分の出発点みたいな感じです。たまたま見かけた区役所のボランティア募集をみて何となく応募したことが、福祉とつながるきっかけになっています。その内容は、重度の身体障がいがあり、24時間介助が必要な方の一人暮らしのサポートで、その方の生活の為のボランティア体制メンバーになりまし た。本人が生きていくための代役者、手となり足となる役割です。買い物ひとつにも、私が選んだ物を「それはダメ、交換して。」と言われますし、私の価値観ではなく本人の価値観を代行して行動しなければいけません。「生きるために力を貸してくれ」というスタンスには衝撃的なことや、非常に生々しいこともあります。時には大ゲンカをしたり、「あなたは甘い!」と叱られたり、私はお世話をしにいったのですが、親子のようでもあり、私に対してすごく正直に向かい合って下さいました。 この体験では、私の考えていたこととは違う現実があることを知ったし、何よりも「生きていく」という事について深く考えさせられました。それで、この後も、自分自身が感じたことと向き合いたいと思いました。そこで、大学を卒業後、8年間の身体障がい者の方の入所施設の職員として勤めてから、帰郷することを考えました。両親に入善で福祉の仕事がしたいと言ったところ、「我が儘なあなたには、人のサポートをするなんて絶対無理!」と大反対されたのですが、 「結婚もしないかもしれない。入善に戻るのなら、入善を元気にすることをしたい。お願いです、あと10年ほどご飯食べさせてください。」と、土下座して、 入善で今の活動を始めたのです(笑)。今では陰ながら(?)応援してくれている両親、家族にはとても感謝しています。私はすごく弱くていつも不安がいっぱいですが、周りを見ると背中を押してくれる人たちが沢山います。自分ひとりの力は弱いから、いろんな人の力を借りなくちゃ前に進めません。出来ないことを嘆くよりも、出来るように、多くの人とつながって、人の力を借りること。人と向き合うこと自体に逃げていくケースって多いし、自分もそうです。人とつながるには、「ごめんなさい」「ありがとう」を素直に表現することが出来、人に感謝することが大事。それを障がい者の皆さんに伝えたりしています。人との関わりってしんどいこともあるけれど、大きな見返りがあると感じています。
【工房では、『入善食堂 太陽と月のとおりみち』をオープンされましたね!】
青木地区の国道8号線沿いで、シロウマサイエンス向かいにある。月曜定休日。
今後ますます人々が行き交って入善が元気になることをしたい。入善をPRしたい。この食堂の運営にはその思いが詰まっています。もちろん北陸新幹線の開通も控えていますので、それも視野に入れています。そこで工房あおの丘と丸善醤油さんの共同経営で、入善の食材にこだわったメニューを作りました。鶏肉の塩麹焼きの「太陽定食」と、豚肉みそ漬け焼きの「月定食」があり、お米、野菜、味噌や醤油まで入善にこだわっています。ほかには工房あおの丘手作りのケーキや丸善醤油特製の甘酒などがあり、どれも美味しいのでおススメです!
“お冷や”は“高瀬の湧水”、お米、野菜、味噌や醤油まで“入善の地場もん”にとことんこだわったメニュー!
食堂では工房あおの丘の利用者がスタッフとして仕事に就きお給料をもらっています。障がい者にとっては、働きながらさまざまな人と出会える貴重な場所です。ここで自分の可能性を見つけてほしいと思います。
味と笑顔で入善の魅力をPR!
【西島さんのおすすめの“入善”について教えてください。】
わたしんちからみる夕日は最高です。風景のきれいなスポットは『入善町高畠(たかばたけ)』!ほかにも大好きなのは『杉沢の沢スギ』です。あおの丘のサービスでも活用させていただいています。バリアフリーだし、小川で水遊びもできますし!岩場みたいな川があって、子ども達はしょっちゅう遊びに行っています(笑)緑がいっぱいで静かで、遊園地ではないけど、とにかく楽しめます。「沢スギ」は私たちが年をとってもずっと守り続けていきたい場所です。そして沢山の人が来てくれれば良いなと思います。
【“入善の観光”についてリクエストはありますか?】
とどまる拠点がないのが残念な気がします。美味しいものがあって素敵な場所もあるけど、お客さんが流れてしまっていると思います。もう少し長い時間とどまれるような仕組みや、人が来てくれたときに、体験コースでもあればいいかな。入善に来たことがない人たちもそれがあると喜んでくれると思います。その為の『入善食堂 太陽と月のとおりみち』で、入善のイイものを発信できる場所だと思います。
インタビューそして、とても貴重なご意見ありがとうございます!工房の活動、食堂経営、地域活動への積極的な参加と、ご多忙な西島さんのパワーと入善へのアツい思いがびしびし伝わってきました。ますます輝く入善ウーマンでいてください!